「臨床検査技師の将来性が不安」「AIに仕事を奪われるかもしれない」と感じていませんか?
確かに、検査機器の進化やAI技術の導入が進む中で、今後の臨床検査技師の役割が変化する可能性はあります。
AIやデータサイエンスの知識を身につけることで、臨床検査技師としての新たな価値を生み出せます。

私は臨床検査技師として働きつつ、ディープラーニング協会のE資格を取得し、AI分野にも精通しています。
この記事では、AI時代における臨床検査技師の未来や、これからの時代に臨床検査技師がデータサイエンティストとして新たなキャリアへと進む可能性について詳しく解説します。
AIとデータサイエンスの学習を始め、変化する医療現場で求められるスキルを手に入れましょう。
臨床検査技師に将来性がないと言われる3つの理由


臨床検査技師は医療現場において欠かせない存在ですが、近年その将来性に不安を感じる声が増えています。ここでは、臨床検査技師の将来性がないと言われる3つの理由についてわかりやすく解説します。
臨床検査技師の数が飽和している


臨床検査技師国家資格の合格者数は年々微増しており、少子化が進む中でも資格取得者は増加しています。しかし、医療施設では一定の人員が確保されると新たな採用が控えられる傾向にあります。
さらに、臨床検査技師国家試験は合格率が比較的高く、受験者の多くが合格しています。その結果、資格保有者の増加と、新規採用の停滞によって、人材の供給過多が懸念されています。
このように、人材が飽和状態にあることで、臨床検査技師の就職・転職の難易度が上昇し、将来性に不安を感じる人が増えています。
AIや自動化による人員削減
近年、AI技術や自動化システムの導入が進み、臨床検査技師の業務の多くが効率化されています。特に、自動化の普及により、検査業務に必要な人員が削減され、病院内の臨床検査技師の数は減少傾向にあります。
AIによる検査の標準化や品質向上は、医療現場の効率化に貢献しますが、定型的な業務の多くがAIに置き換わることで、従来の臨床検査技師の役割が縮小しています。
ただし、チーム医療や患者対応などのAIでは代替できない業務も多く、臨床検査技師が価値を発揮できる領域は依然として存在します。



技術の進化に対応したスキルの習得が求められるのは間違いありません。
医療費削減による経営圧迫
日本の医療業界は、医療費の増加や診療報酬のマイナス改定により、医療機関の経営が年々厳しくなっています。高齢化社会や医療技術の進歩によって医療費が増大し、医療機関の財政負担が拡大しています。
これに伴い、政府は医療費抑制政策を進め、診療報酬の引き下げが続いています。その結果、医療機関の収益は圧迫され、人件費や給与の上昇が見込めない状況になっています。
さらに、医療機関は人件費削減や業務効率化を進めざるを得ず、臨床検査技師の採用や待遇改善が難しくなる傾向があります。これが、将来性に対する不安の一因となっています。
AIにはできない仕事
AIにはできない仕事の一つが、「ヒト」に直接関わる検査や対応です。患者さんに寄り添い、コミュニケーションを通じて信頼関係を築くことは、AIでは実現できません。
臨床検査技師が関わるチーム医療や患者対応は、まさにAIでは代替できない業務の一部です。これらの領域では、人間らしい判断力や感情的な配慮が求められ、臨床検査技師の価値が発揮されます。一方で、検査結果や画像の解析といった機械的で定型的な作業については、AIの方が優れた精度と効率を発揮することも事実です。
AIが補助的な役割を果たすことで、臨床検査技師が「人間にしかできない業務」に集中できる環境が整う可能性もあります。



AIを活用しつつ「人間ならではの価値」を発揮することが、臨床検査技師にとって重要になってくるでしょう。
臨床検査技師はデータサイエンティストに向かう


臨床検査技師の役割は大きな変革を迎えています。世界医学検査学会(IFBLS)が、臨床検査技師の呼称を『Medical Technologist』から『Biomedical Laboratory Scientist』に変更するよう推奨しているのはその象徴的な例です。単に検査を行うのではなく、科学的なデータを活用して医療に貢献する専門職としての期待が込められています。
医療現場では、AIや自動化が進む一方で、膨大な医療データを正確に解析し、臨床に活用する専門性が求められています。このような背景から、臨床検査技師がデータサイエンティストとしてのスキルを身につけ、新たなキャリアへ進む可能性が注目されています。
データサイエンスと臨床検査の関わり方
データサイエンスとは、データの収集・分析・可視化を通じて、意思決定を支援する学問分野です。医療分野では、患者の診断や治療効果の予測、感染症の広がりを解析するなど、さまざまな応用が進んでいます。
特に、臨床検査の分野では、検査結果を基にした疾患リスクの予測や、診療に役立つデータパターンの発見が重要です。これには統計学や機械学習、プログラミングなどのスキルが必要となり、データサイエンティストが果たす役割が拡大しています。



これらのスキルを学ぶことは、AI時代において新しい価値を提供する手段です。
AI時代において臨床検査技師の仕事は無くならない
臨床検査技師の役割は、AIや自動化の進化によってなくなるどころか、ますますその重要性を増していくと考えられます。
臨床検査技師は、医療現場においてチーム医療の一員として不可欠な役割を担っています。AI技術が進歩したとしても、患者とのコミュニケーションや医療チームとの連携など、人間の手が必要な部分は引き続き存在します。むしろ、技術の進化により、臨床検査技師に求められる専門性や判断力はさらに高まるでしょう。
AIを活用したデータ解析や効率化が進む中でも、機械では代替できない人間ならではの視点と専門性が求められます。従来の専門的なスキルに加えて、AIの知見を取り入れ、技術の変化に適応し続ける柔軟性が必要とされます。



「人間だからこそできる価値」を最大限に発揮しながら、進化する医療現場での役割を果たし続けることが求められます。
まとめ
臨床検査技師が担うチーム医療や患者対応は、まさにAIでは代替できない重要な業務です。今後、検査の過程が自動化されることで、臨床検査技師がチーム医療や患者とのコミュニケーションにより多くの時間を費やす時代がやってきます。
このような変化の中で、臨床検査技師が自身の価値をさらに高めるためには、AIやデータサイエンスの知識を学び、新しいスキルを身につけることが不可欠です。AIを活用しながらも「人間にしかできない役割」を果たし、医療現場での存在感をより一層高めることができます。
未来を見据えて、AIやデータサイエンスの学習を始めてみましょう。それが、臨床検査技師としての可能性を広げる第一歩となります。

